フリーランスがどうしてもお金を借りなきゃいけない場合の融資制度一覧

前回、フリーランスが借金をする上で、いかに不利な立場であるかを解説しました。私は、フリーランスは絶対に借金すべきでは無いと思っています。私が当Blogで紹介していくフリーランスの話は、主にインターネットを活用する「デジタル起業」についてですから、何百万円というような大量の資金を必要としない事業です。

しかし、形ある商品を作って販売するようなビジネスの場合、どうしてもある程度のまとまったお金が必要になることでしょう。また、創業にスピードを要する時などにも、お金を借りた方が良いケースもあることでしょう。

本当なら、アルバイトするなり親兄弟に頭を下げるなりして、自力で資金調達すべきですが、それでは間に合わない場合もあるでしょう。そんな人のために、何の実績もないフリーランスの人でも、資金調達出来る手段を「一応」紹介してみます。

まず、何の実績もないフリーランスが、銀行からはお金を借りる事は、ほぼ不可能です。また、消費者金融なら簡単に借りられますが、当然利息が高い(最大20%)ので、借金地獄に陥るリスクが極めて高いでしょう。よって、現実的にありえないこの二つを省くと、フリーランスが利用出来る融資制度としては、以下の4つが挙げられるでしょう。

・日本政策金融公庫の各種融資制度

まず、日本政策金融公庫は、日本国政府が中小事業主の支援を目的に設立した、政府系の金融機関です。法人だけでなく、個人事業主フリーランスでも利用可能です。新規創業時や設備投資に対する融資だけでなく、運転資金を賄う目的の融資も用意されています。サイトを見てもらえば分かりますが、とにかく利息が安いです!無担保・保証人無しでも、1.3〜3.5%という安さです!
http://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html

結論から言うと、フリーランスの借り入れは、日本政策金融公庫から行う事が最善策となります。各地方自治体でも、公的融資制度は用意されていますが、日本政策金融公庫ほど有利な制度は見当たりません。残りの2つについても、同様です。よって、日本政策金融公庫で「ファイナルアンサー」です・・・



 (゚Д゚)<(・・・これで終わり?ちょっと結論早くね?)

・・・確かに、これだけじゃつまらないですね(笑)。てことで、後ろ二つについても一応説明してみましょう。この二つは民間の融資制度で、条件は日本政策金融公庫には及びませんが、IT時代の新たな資金調達制度として、知っておいても損はないでしょう。


ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人に対して、お金を貸したい人が自ら出資できるという、ネット上の金融仲介サービスの事です。ソーシャルレンディング会社が仲介役となり、個人間で直接融資を行うわけです。

お金を借りたい人は、実際の商品(試作品)やビジネスのアイディアを公開し、それに関心を持った一般の人が、任意の金額でお金を出し、後に利息を受け取れるというものです。

通常、信用も実績も無いフリーランスが、銀行からお金を借りようとしても、まず一円も借りることは出来ません。しかし、ソーシャルレンディングなら、貴方のビジネスが有望だと感じた人が居れば、信用や実績など関係なしにお金を貸してくれます。

ただし利息は、日本政策金融公庫や各種自治体の公的支援制度と比べれば、はるかに高利です。せいぜい、消費者金融よりは安いといった程度であり、融資制度としての旨味はありません。

ソーシャルレンディングのメリットは、自分のビジネスをソーシャルレンディング会社のサイトで「告知できる」ことです。即ち、共同でビジネスを行わないか?というパートナーが現れたり、自分の商品・サービスの潜在的ファンを作り出す事も可能でしょう。一種の広告ツールな訳ですね。


クラウドファンディング

クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングと同じく、一般の人から広く出資を募る制度です。クラウドファンディングの特長は、借りたお金は(厳密には)返済しなくても良い場合が多いという点です。出資者への見返りは、実際の商品・サービスを提供することで、代用するというものです。ソーシャルレンディングが借金であるのに対して、クラウドファンディングパトロン(タニマチ)から支援してもらうような制度といえますね。

 ( 'ー`)<( おおっ!金を返さなくて良いんだ!これこそファイナルアンサーじゃね?)

・・・そのようにゼニカネ第一に考える人は、おそらくクラウドファンディングには、あまり向いていないと思います。クラウドファンディングでは、出資者が金銭的見返りを求めない分、金儲け優先のビジネスでは共感を得にくく、社会貢献活動的なビジネスの方が、融資が集まりやすい傾向があります。完全な非営利活動でなくとも、その商品・サービスで世の中をどう変えるのか?どう役立つのか?を熱く語れるような人でないと、共感は得られないでしょう。

また、ビジネスの運営には、より厳格さが求められるといえます。ソーシャルレンディングは、融資資金を返済しなくても良い場合が多いので、一見すると最もお得な制度に見えます。しかし、出資してくれる人の期待に応えなければ、貴方のビジネスの評価・評判が、口コミでどんどん下がっていく恐れがあります。

前述のクラウドファンディングでは、出資者はあくまで金銭的見返りが第一なので、利息を付けてお金を返してさえいれば、文句は言われません。極端な話、商品やサービスが粗悪であろうと、何ら問われることは無いでしょう。しかし、ソーシャルレンディングの出資者は、あくまで貴方の商品・サービスに感銘を受け、応援したいという気持ちでお金を出してくれる人達です。もし、完成した商品・サービスが期待したレベルに達していなければ、この人達を失望させることになります。

ソーシャルレンディングは、金銭的負担は最も楽なものの、最も「評判」に気をつけなければいけない制度です。一度「あの人のいい加減だ」という悪評が広がってしまえば、後々ビジネスを続けていく上で、取り返しの付かないダメージとなりかねません。インターネットが普及した現在、一度付いた悪評は、ネット上で永遠に残り続けてしまうのですから・・・。

ソーシャルレンディングを利用する際は、「タダより高いものはない」の格言が当てはらぬよう、身を引き締めて取り組まねばいけないでしょう。



・・・以上が、フリーランスが利用できる、代表的な融資制度です。

もし私が、どうしてもお金を借りる必要があるのなら、まずは日本政策金融公庫の各種制度を利用します。国や自治体が、わざわざ税金を投入してまで、中小零細事業主の支援を行っているのです。

90年代後半の金融業や、最近ではエルピーダメモリJALなどは、国から公的資金を注入され、経営再建を図った事がありましたよね。日本政策金融公庫が行っている事は、中小企業やフリーランスに対する公的資金注入そのものです。日本国政府は、JALエルピーダと同様に、我々フリーランスも「潰れて貰っては困る」から、公的資金を用意しているのでしょうか?

実際の動機は違うのですが(利権の産物に過ぎない)、そんなことはどうでもいいんです。せっかく有利な制度が用意されているのですから、我々フリーランスは、ありがたく制度を利用させてもらえば良いのです。


但し・・・何度も言いますが、フリーランスは基本的にお金を借りるべきではありません。公的資金だろうと何だろうと、借金である事には変わりはありません。そして借金というのは、一歩間違えれば、貴方の人生を破壊してしまう恐ろしい存在である事を、肝に銘じておくべきだと思います。

・・・ご利用は計画的に。